第二話:夏の厨房と近づく距離
夏の暑さが新日本国を包む。悠斗は葵のレストランに新鮮なズッキーニを届けるようになり、毎週の配達が楽しみになっていた。ある日、葵が「厨房で一緒に料理してみない?」と誘う。悠斗は農業一筋で料理は素人だが、葵の情熱に押されて挑戦する。葵は合成着色料を嫌い、野菜そのものの色を引き立てる調理法を教えてくれる。悠斗がぎこちなくナイフを握る姿に、葵は笑いながらも優しく指導。「料理は素材を愛することよ。あなたみたいに畑を愛する人は、料理も上手になるよ」と言う。悠斗は照れながらも、彼女の手際の良さに尊敬の念を抱く。夜、試作品のラタトゥイユを二人で味わう。悠斗のズッキーニが主役の料理に、彼は「自分の野菜がこんな風になるなんて」と感動する。葵が「次はもっと一緒に作ろうね」と言うと、悠斗の心は夏の陽射しのように熱くなった。
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